人間性回復のチャンス
1995 神戸、須磨

当時、僕が住んでいた神戸で大地震が起こった。たくさんの家や建物が壊れ、たくさんの人が怪我をし、そして亡くなった。そんな悲しく大変な状況の中だったけれども、地震直後にはいいこと、美しいこともあった。知らない人同士が本当に自然に声をかけあい助け合ったこと。人間が人間を本当に思いやった こと。しかし時間が経ち、町が落ち着いてくるにつれ、そういう良かったことも急速に無くなっていった。以前のように会社や学校に通う人たち。地震があったこの町から出ていく人たち。そして救援のために初めてこの町にやってくる人たち。そんな人たちが行き交う電車の線路の脇、やはり壊れてしまった友達の家の屋根に「人間性回復のチャンス」という看板を掲げた。

   
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