南半球のクリスマス
1994 神戸、塩屋

もし暖かい季節にサンタクロースになったら、夏にクリスマスを迎えるという南半球のどこかの国にいる気持ちがするかもな、とある日思った。
春、電車が通過する海の近くの空き地でサンタクロースになった。
 
電車の中からチラッと一瞬だけ見えて、振り返ることの出来ない、みつめることの出来ないサンタクロース。チラッとしか見えないがゆえに、心に残る物事。
もし電車の中に南米やオーストラリアの人が乗っていて、チラッとサンタクロースを見て、故郷の暖かい季節のクリスマスを思い出してくれたらなと思った。
 
空き地に落ちているゴミを拾った。春のサンタクロースの袋は水色でゴミが詰まっている。
時々、コロンブスのことを思い出す。インドに辿り着こうとしてアメリカ大陸を発見したコロンブス。
僕の「南半球のクリスマス」は、一体どこへ辿り着くことができるだろう?

   
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